蔵出し味噌 麺場 田所商店

お知らせ

味噌の種類と特徴|色・原料・地域でどう違う?

コラム
味噌の種類と特徴

味噌売り場に立つと、「米みそ」「麦みそ」「赤だし」「白みそ」といった言葉が並び、どれを選べばよいか迷うことがあります。同じ「味噌」でも、色や味わいはずいぶん違って見えます。

実は味噌は、「原料」「色」「味わい」「地域」という、いくつかの切り口で分けられます。そして、それぞれは別々の分け方です。この記事では、その切り口ごとに味噌の種類を整理していきます。全体像がつかめると、普段選んでいる一品の見え方も少し変わってくるかもしれません。

原料で分ける味噌の種類

味噌を分ける、いちばん基本になる切り口が原料です。味噌は大豆・麹・塩からつくられますが、このうち「どの麹を使うか」によって、大きく次の4つに分かれます。農林水産省の資料でも、味噌は米みそ・麦みそ・豆みそ・調合みその4種類に分類されています。

種類 使う麹 主な産地 味わいの傾向
米味噌 米麹 全国各地 甘口から辛口まで幅広い
麦味噌 麦麹 九州・四国・中国地方が中心 甘みと麦の香ばしさ
豆味噌 豆麹(大豆が主) 東海地方(愛知・三重・岐阜)が中心 濃厚でコクがある
調合味噌 複数を合わせる 各地 合わせ方によって変わる
原料による味噌の分類(米味噌・麦味噌・豆味噌・調合味噌)の図解

米味噌

米味噌は、大豆に米麹と塩を加えてつくる味噌です。全国各地でつくられており、国内でつくられる味噌の多くを占めるとされています(約8割ともいわれます)。

米味噌の中には、甘口のものから辛口のものまで幅広い味わいがあります。私たちが普段の味噌汁で口にしている味噌の多くは、この米味噌に含まれます。もっとも身近で、種類の幅も広いのが米味噌だといえます。

麦味噌

麦味噌は、大豆に麦麹と塩を加えてつくる味噌です。九州・四国・中国地方を中心につくられています。

麦を使うことで生まれる、あっさりとした甘みと、麦特有の香ばしさが特徴とされています。地域によっては「田舎みそ」と呼ばれることもあります。

豆味噌

豆味噌は、大豆に豆麹を加えてつくる味噌です。米や麦の麹を使わず、大豆が主な原料になる点が、ほかとの大きな違いです。愛知・三重・岐阜といった東海地方を中心につくられています。

大豆のうまみが凝縮した、濃厚でコクのある味わいが特徴です。愛知県の八丁味噌は、この豆味噌の一つとして知られています。

調合味噌

調合味噌は、2種類以上の味噌を合わせたり、種類の異なる麹を混ぜてつくったりした味噌です。「合わせみそ」と呼ばれることもあります。

たとえば米味噌と豆味噌を合わせると、それぞれの持ち味が組み合わさり、単独とはまた違った味わいになります。いわゆる「赤だし」も、豆味噌に米味噌などを合わせたものが多く見られます。

色で分ける味噌の種類

原料とは別に、味噌には「色」による分け方もあります。ここが混同しやすいところですが、原料の分類と色の分類は、まったく別の切り口です。米味噌の中にも色の濃いものと淡いものがあり、原料が同じでも色は一つに決まりません。

色による分類は、大きく次の3つに分けられます。

色の分類 見た目 主な傾向
白味噌 もっとも淡い色 熟成期間が短めのものが多い
淡色味噌 白と赤の中間色 味のバランスがよい
赤味噌 濃い赤褐色 長めに熟成させたものが多い
色による味噌の分類(白味噌・淡色味噌・赤味噌)を示した図

では、なぜ同じ味噌なのに色が変わるのでしょうか。味噌の色は、主に発酵・熟成の間に起こる「メイラード反応」によって決まるとされています。これは、原料に含まれるアミノ酸と糖が反応して、少しずつ色づいていく現象です。熟成の時間が長くなるほど、色は濃くなる傾向があります。

なお、白味噌や赤味噌の指す範囲は、地域によって少し異なります。たとえば関西で「白味噌」というと淡いクリーム色の味噌を指すことが多い一方、関東では中間色の淡色味噌を「白みそ」と呼ぶこともあります。色の呼び方には、地域ごとの感覚も含まれていると考えると分かりやすいかもしれません。

甘口・辛口の違いは何で決まる?

味噌を選ぶとき、「甘口」「辛口」という表示を目にすることもあります。この甘さ・辛さは、色とはまた別の要素で決まります。

甘口か辛口かを左右するのは、主に塩分の量と「麹歩合(こうじぶあい)」です。麹歩合とは、大豆に対してどれくらいの麹を使っているかを表す割合のことです。一般的には、塩分が少なめで麹歩合が高いほど、甘口になりやすい傾向があるとされています。

ここで気をつけたいのが、色と味わいは必ずしも一致しないという点です。「赤い味噌は辛い」「白い味噌は甘い」というイメージを持たれることがありますが、これは常に当てはまるわけではありません。たとえば東京で親しまれてきた江戸甘味噌は、赤みのある色をしていながら甘口に分類されます。色はあくまで色の分類、甘辛は甘辛の分類として、分けて見るのが正確です。

つまり味噌は、「原料」「色」「味わい」という複数の切り口が、それぞれ独立して重なり合っています。一つの味噌を、いくつもの角度から眺められると考えると、選ぶときの見方も少し広がります。

地域で見る味噌の個性

ここまで見てきた「原料」「色」「味わい」の切り口は、地域ごとに異なる組み合わせで受け継がれてきました。日本各地には、その土地で親しまれてきた味噌があり、それぞれに個性があります。

代表的なものをいくつか挙げてみます。

地域味噌 主な原料 色・味わいの傾向
信州味噌(長野県) 米味噌 淡色で、すっきりとした辛口の傾向
仙台味噌(宮城県) 米味噌 赤色で、コクのある辛口の傾向
西京味噌(京都) 米味噌 白色で、甘口
八丁味噌(愛知県) 豆味噌 濃い赤褐色で、濃厚な味わい
信州味噌・仙台味噌・西京味噌・八丁味噌など地域ごとの味噌の特徴を示した図

こうして並べてみると、同じ米味噌でも、信州味噌は淡色の辛口、西京味噌は白色の甘口と、色も味わいも違うことが分かります。原料が同じでも、地域によって仕上がりの個性が変わるのです。また、九州・四国・中国地方では麦味噌が、東海地方では豆味噌が多く見られるなど、地域と原料にも一定の重なりがあります。

なぜその地域でその味噌が親しまれてきたのか、という背景には、歴史や食文化が関わっています。個々の地域については、それぞれに掘り下げるだけの物語があります。ここでは全体像として、「地域によって味噌の個性が違う」ことを押さえておければ十分です。

味噌の種類を、いくつかの目で見てみる

味噌の種類は、「原料」「色」「味わい」「地域」という切り口で整理できます。原料では米・麦・豆・調合、色では白・淡色・赤に分かれ、甘口か辛口かは塩分と麹の割合で決まります。そして、これらは別々の分け方なので、「赤いから辛い」と一つに決めつけることはできません。

同じ「味噌」という言葉の中に、これほど多くの違いがあることを知ると、普段何気なく手に取っている一品にも、少し違った目を向けられるかもしれません。次に味噌汁を口にするとき、その味噌がどんな原料で、どんな色や味わいなのかを思い浮かべてみると、いつもの一杯がまた違って感じられそうです。気になった種類や地域があれば、そこから一歩、味噌の世界を広げてみてください。

参考文献