
味噌汁のだしのきいた一杯を口にしながら、この味噌にはいったいどんな栄養素が入っているのだろう、とふと気になったことはないでしょうか。毎日のように食卓に並ぶ身近な調味料だからこそ、あらためて「何が含まれているのか」を知る機会は意外と少ないかもしれません。味噌は蒸した大豆に麹と塩を加え、発酵・熟成させてつくられる発酵食品です。その原料と発酵の過程から、たんぱく質やミネラル、ビタミンなど、さまざまな栄養素が含まれています。この記事では、味噌に含まれる栄養素を「三大栄養素」「ミネラル」「ビタミン」「発酵に由来する成分」という切り口で整理し、それぞれがどんな栄養素なのかをやさしく見ていきます。
味噌に含まれる栄養素を、まず一覧で見る

味噌にはさまざまな栄養素が含まれますが、細かい説明に入る前に、代表的なものを一覧で見ておきます。ここでは、家庭でよく使われる米みそ(淡色辛みそ)を例に、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の可食部100gあたりの数値をもとに整理しました。
| 栄養素 | 一般に関わるとされる働き | 味噌に含まれる目安(米みそ・淡色辛みそ 100gあたり) |
|---|---|---|
| たんぱく質 | からだをつくる主要な成分に関わる | 12.5 g |
| 脂質 | エネルギー源となる栄養素 | 6.0 g |
| 炭水化物 | エネルギー源となる栄養素 | 21.9 g |
| 食物繊維 | 腸内環境などに関わるとされる | 4.9 g |
| ナトリウム(食塩相当量) | 体内の水分バランスなどに関わる | 食塩相当量 12.4 g |
| カリウム | ミネラルの一つ | 380 mg |
| カルシウム | 骨や歯に関わるミネラル | 100 mg |
| マグネシウム | さまざまな体内の働きに関わるミネラル | 75 mg |
| 鉄 | 赤血球に関わるミネラル | 4.0 mg |
ここに示したのは100gあたりの数値です。味噌を100gそのまま食べる場面は多くないため、料理で使う量に近い「大さじ1(約18g)」に換算すると、たんぱく質は約2.3g、食塩相当量は約2.2g、食物繊維は約0.9g、カリウムは約68mg、カルシウムは約18mgほどになります。あくまで目安ですが、日常で使う一さじにこれだけの栄養素が含まれていると考えると、身近な調味料の見え方が少し変わるかもしれません。ここから、それぞれの栄養素をもう少し具体的に見ていきます。
三大栄養素|大豆由来のたんぱく質を中心に
からだのエネルギーや組織のもとになる、たんぱく質・脂質・炭水化物を三大栄養素と呼びます。味噌にはこの三つがいずれも含まれています。
なかでも味噌の特徴としてよく挙げられるのが、たんぱく質です。味噌の主原料である大豆は、良質なたんぱく質を豊富に含む食品として知られています。前述の米みそ(淡色辛みそ)では、100gあたり12.5gのたんぱく質が含まれています。たんぱく質は、一般にからだをつくる主要な成分に関わる栄養素とされています。
脂質と炭水化物も、味噌に含まれる三大栄養素です。米みそ(淡色辛みそ)では、100gあたり脂質が6.0g、炭水化物が21.9g含まれています。これらは一般にエネルギー源となる栄養素とされています。味噌は原料や種類によってこれらの割合が変わり、たとえば大豆だけを原料にする豆みそでは、たんぱく質が100gあたり17.2gと、米みそより多めになる傾向があります。
ミネラル|カリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄
味噌には、いくつかのミネラルも含まれています。ミネラルは、からだの調子を整えることに関わるとされる栄養素の総称です。米みそ(淡色辛みそ)100gあたりでは、カリウムが380mg、カルシウムが100mg、マグネシウムが75mg、鉄が4.0mg含まれています。
- カリウム:一般に、体内の水分やミネラルのバランスに関わるとされるミネラルです。
- カルシウム:骨や歯に関わるミネラルとして知られています。
- マグネシウム:からだのさまざまな働きに関わるとされるミネラルです。
- 鉄:赤血球に関わるミネラルとして知られています。
これらのミネラルの量も、味噌の種類によって幅があります。たとえば大豆を多く使う豆みそは、100gあたりでカリウムが930mg、マグネシウムが130mg、鉄が6.8mgと、米みそより多い傾向が見られます。原料や製法が変わると、含まれる栄養素の量も少しずつ変わってくる、ということです。
食物繊維も含まれている
ミネラルとあわせて知っておきたいのが、食物繊維です。原料である大豆に由来して、味噌には食物繊維も含まれています。米みそ(淡色辛みそ)で100gあたり4.9g、麦みそで6.3g、豆みそで6.5gと、こちらも種類によって差があります。食物繊維は、一般に腸内環境などに関わるとされる成分です。調味料でありながら食物繊維を含んでいる点は、大豆を原料とする味噌ならではといえるかもしれません。
ビタミン|ビタミンB群やビタミンKなど
味噌には、ビタミン類も含まれています。米みそ(淡色辛みそ)100gあたりでは、ビタミンB1が0.03mg、ビタミンB2が0.10mg、ビタミンKが11μgといった値が示されています。
ビタミンB群は、一般にエネルギーをつくり出す過程などに関わるとされるビタミンです。ビタミンKは、血液や骨に関わるとされるビタミンとして知られています。含まれる量そのものは大きくはありませんが、味噌がこうしたビタミン類を含んでいることは、成分表からも確認できます。
味噌のビタミンについては、原料の大豆に由来するものだけでなく、発酵の過程で生み出されるものもあるとされています。この点は、次に見る「発酵に由来する成分」ともつながっています。
発酵に由来する成分|味噌が発酵食品であること
味噌の栄養を語るうえで欠かせないのが、発酵食品であるという点です。味噌は、大豆や米・麦に麹菌などの微生物が働きかけ、時間をかけて発酵・熟成することでつくられます。この過程では、原料そのものにはあまり含まれていなかった成分が新たに生み出されると説明されています。
たとえば、麹の酵素の働きによって、大豆のたんぱく質が分解され、アミノ酸が生成されるとされています。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分であり、味噌の旨みにも関わっているといわれます。発酵によって、原料の段階よりもアミノ酸が多く含まれるようになる、という説明が生産者の資料などで紹介されています。
このほか、大豆由来の成分として、イソフラボンやサポニン、レシチンなどが含まれることも挙げられます。ただし、これらの成分がからだにどのような影響を及ぼすかについては、研究の途上にあるものも多く、断定的にとらえないことが大切です。ここでは、味噌が大豆と発酵に由来するさまざまな成分を含む食品である、という事実として受け止めておくのがよいでしょう。
塩分(ナトリウム)についても知っておく
味噌の栄養素を見るときにあわせて知っておきたいのが、塩分です。味噌は塩を加えてつくる調味料のため、ナトリウム(食塩相当量)を含んでいます。米みそ(淡色辛みそ)では、100gあたりの食塩相当量が12.4gと示されています。
もっとも、味噌をそのまま100g食べることはまずありません。料理に使う大さじ1(約18g)に換算すると、食塩相当量はおよそ2.2gほどが目安になります。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」では食塩の摂取に関する目標量が示されていますが、これは味噌だけでなく一日の食事全体で考えるものです。味噌の塩分は、汁物の量やだし、具材とのバランスのなかで調整できるものです。塩分を含むという事実を知ったうえで、日々の食事全体のなかでバランスよく取り入れていくのがよいでしょう。
味噌の栄養素を知って、いつもの一杯を味わう
ここまで見てきたように、味噌には三大栄養素であるたんぱく質・脂質・炭水化物に加え、カリウムやカルシウム・マグネシウム・鉄といったミネラル、ビタミンB群やビタミンK、そして食物繊維など、さまざまな栄養素が含まれています。さらに、発酵という過程を経ることで、原料の段階にはなかったアミノ酸などが生み出される点も、味噌ならではの特徴です。
そして、これらの栄養素の量は、米みそ・麦みそ・豆みそといった種類によっても変わってきます。同じ「味噌」という言葉でも、原料や製法が違えば含まれる栄養素の傾向も少しずつ異なる、というわけです。
毎日のように口にする味噌が、大豆と麹、そして発酵の時間から生まれた、栄養素を含む発酵食品であること。それを知っておくと、次に味わう味噌汁の一杯が、また少し違って感じられるかもしれません。原料や種類ごとの違いにも目を向けてみると、味噌の奥深さがさらに見えてくるはずです。






